瀧羽麻子さんの新刊『虹にすわる』が刊行になりました。
海辺の小さな町で椅子職人になる夢を追いかける、若い職人コンビの物語。アラサーのこじらせ男子2人に、ついつい引き込まれてしまいます。
早くも全国の書店員さんから、激賞の声が集まっています!
感動的な声をこちらでご紹介。
売れなかったら自分が悪い! と本気で思う作品です。
――内田剛さん(三省堂書店 有楽町店)
読み終えて自分の居場所を見つけたというか、
里帰りしたような気分になりました。
全編に漂う透明感が素晴らしく、
心の中にこびりついていた澱がとれました。
不器用な登場人物たちが繰り広げる人間模様は、
決して派手ではありませんが、だからこそ、
今まさに横たわっている僕らの悩みと重なり、
身近に感じられるのかもしれません。
書店の仕事も職人に近い部分が多く、
妥協せず志を貫く姿に共感の嵐です。
忙しい日常の業務に追われて、
つい楽しむことの大切さを忘れていた
自分自身を大いに反省しました。
冒頭の一人釣りはラストで二人になりますが、
その先には読者である自分も加わっていました。
もちろん一緒に虹の橋にも座りました。
彼らとともにこれからの人生を楽しみながら、
夢を見続けて行こうと思うのです。
いい作品に出合うと薦めずにはいられません。
売れなかったら自分が悪い! と本気で思います。
『虹にすわる』はまさにそういう物語です。
素敵な物語を本当にありがとうございました!
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温かさと優しさの伝わる、とても素敵な小説
――久田かおりさん(精文館書店 中島新町店)
瀧羽さんの小説が持つ温かさと優しさの伝わる、とても素敵な小説でした。
子どものころ見た絵本だかアニメだかで、主人公が虹にすわって笑顔で歌を歌っていたのを覚えている。「あぁ、私もいつか虹にすわって歌を歌いたいな」と思っていたことを、この本を読んで思い出した。
瀧羽さんの小説には、生きることが不器用な人が出てくる。その不器用さを見ていると、心配で、気になって、放っておけなくなる。
心配性で人の顔色ばかり見て自分の意見を通すことのできない「徳井」や、
一見、自由奔放で楽天家でお調子者のように見えるけれど、実は自分の夢をかなえることに一途な「魚住」の、
うまく人生を歩いていけない不器用さも、放っておけなくなってしまう。
もし私の近くに徳井や魚住がいたら、「ちょっと、もう、ほんとにしっかりしなさいよ!」と説教しつつ、世話を焼いてしまいそうだ。
自分たちの手でオリジナルの椅子を作って売る――。そんな二人の夢は、あぶなっかしくて現実味がない。だけど、なんとかして叶えてほしいと思わずにいられない。
夢と現実は別だ。そう自分に言い聞かせながら、夢から目を逸らしてしまった経験は、誰にでもあるだろう。そして、自分なりに折り合いをつけ、決意を繰り返し、と同時に少しの後悔もしてきたのではないだろうか。
そんな「自分」を、全力で肯定したくなる一冊だ。
* * *
これからの新しい生き方を描いた一冊。でも、ビジネス書や自己啓発書だったら、ここまで心に刺さらなかったかも…。
――和田章子さん(水嶋書房くずはモール店)
今回の作品は、オーダーメイドの椅子作りをする若い職人の生き方を通して、
大量生産の事業やGAFAのような大企業が経済を独占する時代の終焉を、若い世代がとらえ始めているんだ! ということを意識させる物語だと感じました。
甘さを抑えたすっきりした読後感が印象的です。
4人の若者が、都会ではなく地方のよさに気づき、その土地で生きることを模索していますが、ビジネス書や自己啓発書だったら、ここまで心に刺さらなかったかも……。
小説だからこそ、彼らの発するひと言から、一歩前に進む勇気をもらえると感じました。
そして、彼らの物語が持つ“余白”に思いを馳せました。
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人は人に寄り添って、人は人に寄り添われて、生きている。
――山中真理さん(ジュンク堂書店 滋賀草津店)
私たちは、“眠っていた心”を呼び起こすことを、無意識のうちに否定しているのかもしれない。しかし、否定するということは、それだけそのことが気になっているということだ。
本書の主人公である、徳井と魚住は、“眠っていた心”を呼び起こした。
人は人に寄り添って、人は人に寄り添われて、生きている。
徳井と魚住の椅子づくりを見ていたら、その言葉が浮かんだ。
彼らは、虹にすわることを思い描いている。
彼らのつくった椅子にすわることができた人は、“虹にすわれた”のかもしれない。
私は、彼らと、彼らをとりまくすべての人が、「虹にすわる」ことを願う。
私も、彼らのつくった椅子にすわりたい。そして虹にすわりたい。
そこはかとない温かさがしみました。じわーっときました。
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もしかしたら、これって新しい物語なのかも!
――青柳将人さん(文教堂書店青戸店)
デビュー作『うさぎパン』から何作も積み上げてきた物語の厚み。
その頃から変わることのない、独特の軽妙で優しさの滲む会話のやりとりや心理描写。
懐かしくもあり、そして嬉しくもありました。
椅子って、身近すぎて普段気にかけることもないような家具の一つだけれど、
「椅子に座る」というシンプルな所作が、実は、人と物との密接な関係を生んでいるんですね。椅子には、安心して身を預けられる柔らかさと温もりが感じられます。
もしかしたら、これって新しい物語なのかも!
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これは青春……いや、人生応援小説だ!
ーー宮地友則さん 本の王国グループ(株式会社新進)
好きなことを仕事にし、その仕事が楽しいならば、「夢」は、叶ったようなもの。
すなわち、主人公の男性二人の“人生を賭けての椅子づくり”は、半ば、叶ったも同然!?
「職人」と「芸術家」という、真逆のタイプの2人かもしれないが、
そんなふたりだからこそ、夢が叶えられる――。
これは青春……
いや、人生応援小説だ!
虹にすわる
『ありえないほどうるさいオルゴール店』で感動を呼んだ瀧羽麻子さんの新刊が発売となりました。
職人気質の先輩と、芸術家肌の後輩。海沿いの小さな町の椅子工房で、夢の続きをみることにした”こじらせ男子”ふたりの、友情と奮闘の物語。
夢に向かう勇気が湧きます!